第14回「2人きりの戦争」

「お久しぶりです、水川京です」


「本当に久しぶりですよ・・・一体何ヶ月ここを放置していたんですか?」


「いやーこっちにも色々用事があって・・・ね?」


「いや・・・ね?って言われても・・・」


「まぁそこら辺はあえて突っ込まない方向で」


「まぁ別に興味もありませんからいいですけどね」


「・・・さらりと冷たい。まぁそれにしても、コノアたんの姿が見えないんだけど
どこにいるか知っているかな?かな?」


「2回繰り返さなくてもいいです。私も今日は朝から見てないんですよねぇ。
いつもなら朝から元気に動き回っているのに」


「なるほど・・・どこに行ったんだろうねコノアたん」


「ご主人様が嫌になって家出しちゃったんじゃないですかー」


「ははは、そんなことがあるわけないじゃないか〜」


「そうですよね〜あはははは〜」


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


「・・・段々冗談だとは思えなくなってきた」


「・・・実は私もです」


「・・・・とりあえず、庭を探してみようかな」


「・・・・じゃあ私は家の中をさがしてみますね」


そして数十分後
「ご主人様大変です、コノアちゃんの部屋にこんなものが!!」


「置手紙!?家出の基本!?
昔からの伝統に乗っ取るとは・・やるなコノアたん!」


「ってそんな事言ってる場合じゃないですよ!手紙があるってことは
コノアちゃん家出しちゃったってことじゃないですか!」


「・・・・やっぱり?現実逃避してみたけど・・・やっぱり?」


「ああ・・・やっぱりご主人様の日々のセクハラに耐えられずに・・・」


「ちょ、幼女は見て癒されるものであって
決して触れてはいけない不可侵な存在なんだぞ!
そんな幼女に俺が直接タッチするわけなかろう!」


「いや・・・いっぱい触ってきたじゃないですか・・・」


「くっ・・・取りあえず手紙を読んでくれ!」


「そうですね・・・えーっと「拝啓お兄ちゃん、お姉ちゃんへ
今日は遠くにいるお友達がこっちに遊びに来るということなので遊んできます
PS:今晩はお友達の泊まっている場所に一緒にお泊りしてきます」」


「・・・・ぇ?」


「・・・どうやら友達が遊びにくるので遊びにいっただけみたいですね」


「あーびっくりした。本当に家出したらどうしようかと思っちゃったよ・・・」


「この家ならいつ起こってもおかしくないですからね・・・」


「ひどいや・・・まぁそれはおいて置いて
今夜はコノアたんは友達とお泊りって書いてあったよね?ということは」


「・・・今晩はご主人様と2人きりということ・・・ですか?」


「ふふ、あの頃を思い出すな
あの熱く激しい夜がまた始まろうとしているのか」


「いやいやいや、熱くも無いですし激しくも無かったですよ!」


「まぁそう照れなさんなって」


「殴りますよ?」


「すみません」


「まぁそれはそうと今日は2人だけですし晩御飯はどうしましょうか?」


「ここは懐かしのニトロ配達に頼むしかないようだ」


「本当に懐かしいネタを持ってきますね」


「ああ、あの【全国どこでも5分で配達します】がキャッチフレーズのあの店だ
しかも5分を超えたら無料になるというあの店だ」


「前回注文したときも注文から2分くらいで来ましたからね。
明らかに電話した店が県外だったのに・・・」


「というかこの店、全国に1店舗しかないぞ・・・?
どうやって全国を5分で回るんだろうか・・・」


「いくらニトロを積んでいても明らかに無理ですからね・・・」


「まぁ世の中には不思議な事がいっぱいあるってことだね☆」


「・・・そんなあっさり」


「じゃあ早速頼むことにしようか。・・・
もしもし、この具が全部乗っているスペシャルピザにトッピングで具を全部乗せてください」


「ちょ!!」


「・・・ぇ?大丈夫?・・まじですか?・・じゃあそれお願いします」


「・・・冗談ですよね?」


「・・・冗談じゃないらしいよ?
そもそもこのスペシャルピザという物が存在している時点で冗談だと思うんだが
それにトッピング全部という事が出来るって・・・」


「・・・自分で頼んでおいて冗談だと思ってたんですか?」


「・・・だってありえなくね?」


ぴんぽーん


「はーい・・・って、え!?もう来たんですか!?
注文してから1分30秒ほどしか経ってませんよ!?
なんだか前回より早いような気が・・・
え?ウチは峠の下り最速を自負していますから?
いや・・そういうものなのでしょうか?
えっと、とにかくご苦労様でした・・・」


「今のってとうふ屋の1人息子じゃないよね・・・?」


「・・・というか家の近辺とかは峠ないですよね・・・?」


「まぁとりあえずコースレコードを塗り替えられてよかったよかった。
じゃあ早速注文した品を開けることにしますか」


「・・・・・本当に全部乗ってる」


「・・・・・ネタじゃなかったようだな。
見た目はあれだが多分全部乗っているんだから美味しいだろう」


「・・・・絶対に美味しくないような気がします」


「・・・・じゃあ俺から食べてみるからそれでいいでしょ?
どれどれ・・・・
・・・・・・・・・ウマイヨー」


「え、何その反応!?絶対嘘ですねそれ!!」


「・・・テシカ、ハヤク、タベルトイイヨー」


「・・・何で片言なんですか!?嫌ですよ!
あ、やめて下さい!無理やり口に・・うぐぐぐぐ」


「・・・ドウアルカ?ピッツァウマイアルカ?」


「・・・ごほごほ、なんでピザの発音だけいいんですか!?
というより美味しくないですよこれ!
不味いですよ!口の中で全部の味が広がりましたよ!」


「あ、やっぱり?だよねぇ〜。まぁこれもある意味いい思い出ということで」


「確実に悪い思い出ですよ。むしろこの家でいい思い出ほとんど見つかりませんよ!」


「いやー最近のテシカたんは突っ込みがうまいねぇ」


「この家に来てからというものの小さな事でも突っ込まないと落ち着かなくなっちゃいましたよ・・・」


「もうテシカたんは俺がいないと生きていけない体になってしまったようだ」


「殴りますよ?」


「全力で拒否させてもらいます」


「まぁとりあえずこの余ったピザはどうしますか?」


「とりあえず限界までは挑戦してみようじゃないか、もちろん2人で」


「やっぱり私もですか・・・・」


こうして夜が明け次の日


「ただいまー」


「おかえりーコノアたーん」


「おかえりーコノアちゃーん」


「あれ、お兄ちゃんとお姉ちゃん
心なしか顔色が悪いような気がするんだけど気のせいかな?」


「キノセイキノセイ」


「キノセイキノセイ」


「・・・・そうかなぁ〜」


「まぁそんなことよりコノアたん、実はコノアたんにお土産があるんだ」


「私たち2人からプレゼントだよー」


「わーい、何かな〜?」


「さぁ、コノアたん、これを食べるよろし」


「え、何その危ない色しているピザ」


「キノセイキノセイ、サァ、ドンドンタベルヨロシ」


「ぇ・・えっとごめんね?ちょっと今はお腹が空いてなくて・・
ってお姉ちゃんなんで後ろから羽交い絞めにするの!?」


「キノセイキノセイ、サァ、ドンドンタベルヨロシ」


「さっきから変だよ2人とも?ぇ、ちょ、お兄ちゃんやめて
流石に3枚重ねは無理・・・・いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!」


麗らかな昼下がりにコノアの悲鳴が響き渡った