第15回「1日ご主人様」

「こんにちはーテシカです」


「こんにちはー水川京です」


「ご主人様、またコノアちゃんがいませんけど?」


「ああ、コノアたんは最近近所にお友達が出来たみたいで今日も遊びに行っているよ。」


「お友達が出来てよかったですねコノアちゃん」


「相手が男だったら闇に葬り去るか。
女の子だったら「はぅ〜お〜もちかえりぃ〜」だな」


「いやいやいやいや、葬り去らないで下さい、持ち帰らないで下さい!」


「ジョークジョーク
最近コノアたんはメイドとしての心構えが足りないような気がするな。」


「まぁコノアちゃんもまだ子供ですし、遊びたいお年頃ですよ。
というかどこの世界に幼女を働かせるところがあるんですか!」


「2次元?」


「・・・・・・・・・・・・」


「すみません、反省しています」


「ご主人様はいいですよね、いつも自由な時間に起きて
仕事だってろくにしないでブラブラしているだけなんですから」


「まぁそれがご主人様ってものさ」


「私たちは朝早くから食事の用意したり掃除したり洗濯したりと大忙しですよ
私も1日だけでもいいからご主人様の立場になりたいですよ・・・」


「じゃあやってみる?」


「・・・・・ぇ?」


「面白そうだしね、明日1日はテシカたんがご主人様
そう「1日ご主人様」だ!」


「それはつまり1日所長とかみたいな感じですか?」


「簡単に言えばそうだね。
つまり明日1日は立場が逆になるということだよ」


「つまり私がご主人様になってご主人様がメイド・・・?」


「この場合は・・・・茶坊主・・・かな?」


「・・・・本当にいいんですか?またいつもの冗談ですよね?」


「男に二言は無いぜ!」


「ご主人様がそう言うなら・・・・」


「ということでさっそく明日にでも実施することにしよう」


「わかりました。念を押しておきますが・・・本当ですよね?」


「うん、本当。明日は俺がメイド(茶坊主)で
テシカたんはご主人様。なんでも言っていい立場だということで」


「わかりました。それじゃあ明日はそういうことで決まりですね。」


「ばっちこーい」


そして次の日


「zzZZZZZZ」


「起きなさいこのばか犬!!」


「ぐはぁ!!」


「ご主人様より遅く起きるなんてどういうこと!今日は朝食抜き決定!」


「そんな・・・ご主人様お慈悲を!!」


「いいから早く服を用意しなさいよ!」


「はい!今すぐ!」


「着せて頂戴」


「ぇ・・・いや、でも流石にそれはまずいんじゃあ・・・」


「ご主人様に手を煩わせるつもりなの!?
そういうのは全部召使がやるものよ!」


「なんだろうこのルイズみたいな性格・・・
絶対参考として読んだ本がゼロの使い魔に違いない・・・」


「何やっているのよ、さっさとしなさい!
まったく使えない犬なんだから・・・」


「・・・・全然性格が違う」


「まったく服を着せるのにどれだけ時間がかかっているのよ!
まぁいいわ、次は食事にしましょう。」


「了解しましたご主人様。」


「ちょっと、何ちゃっかり椅子に座っちゃってるのよ」


「ぇ・・でも食事ですよね?
椅子に座らないと食べられないじゃないですか?」


「何言ってるの?あんたは床に座るのよ!
まったく召使の癖に図々しいんだから!」


「・・・ひどいや」


「じゃあいただこうかしら」


「やったーやっと朝食にありつける・・・」


「ちょっと待ちなさい、あんた何私と同じのを食べようとしているの!
あんたはこっちよ!」


「・・・ぇ、何ですかその硬そうなパンと味の薄そうなスープ」


「召使がご主人様と同じ食事を食べられると思っているの!?」



「・・・・どこまでも本に影響されているなぁ」


「何かいったかしら?」


「いえ、なんでもないですよご主人様」


「まぁいいわ、食事が終わったら洗濯よ」


「・・・・え、これ全部ですか?」


「いいから早くやりなさい!それ全部手洗いでやるのよ!
洗濯機なんて使ったら許さないんだから!」


「・・・・はぃ(しかしこれはツンデレっぽいし、これはこれでいいかな)」


「(あのご主人様をこんなに自由にあしらえるなんて・・・
ご主人様っていいものだなぁ〜。ちょっと癖になりそうかも♪)」


「・・・・はぁ〜実はメイド(茶坊主)って凄く大変なんだなぁ。
しかし俺でもここまでやらないよ・・・」


「こら!このばか犬!何サボってるのよ!!」


「いえ、決してサボってなんていませんよ!」


「これは躾が必要のようね・・・」


「え・・・何を取り出すんですか?ぇ、何その鞭みたいなものは!?」


「躾の悪い犬には体に叩き込ませるしかなさそうね」


「え、ちょ、流石に鞭はまず・・・ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


「(ああ、なんって快感なんだろうご主人様って・・・
とりあえず今まで受けたひどい扱いの分だけ殴っておかなきゃね♪)」


「きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


次の日


「zzzzZZZZZ」


「起きなさいこのばか犬!!」


「ひぃ!すみませんご主人様!」


「ふふ、何言っているんですかご主人様はあなたじゃないですか」


「え・・あ、ああ、そうか、そういえば1日だけだったもんな・・・
つい反応してしまった・・・」


「まぁこれで朝もちゃんと起きられるようになりましたね。」


「ああ、昨日は嫌というほど体に叩き込まれたからな・・・
犬の気持ちがわかった気がするよ・・・」


「ところでご主人様、また・・・」


「駄目です!!」


「ええ〜まだ何も言ってませんよ〜」


「どうせ「また1日ご主人様をやりましょうね」って言うつもりでしょ」


「なんでわかったんですか!?」


「鞭で叩いているときのテシカたんの顔がとても嬉しそうだったし・・・」


「でもまぁこれでご主人様も日ごろ仕事している
メイドの大変さをわかってくれたと思いますし、よかったよかった」


「明らかにご主人様とメイドというよりは
女王様と奴隷といったほうがぴったりくるような感じでしたが・・?」


「人生はエロゲーのようにいかないってことですよね」


「・・・・・そんなあっさり締めくくられても」