第16回「秋色恋華」

「おはよーお兄ちゃん」


「あれ、コノアたん今日は家にいるんだね」


「うん、コノアはメイドさんだからちゃんとお仕事しないといけないもんね」


「いやーいい心がけだな〜コノアたんは。
でもコノアたんはまだ小さいんだからお外で遊んでいてもいいんだよ?」


「うん、ありがとうお兄ちゃん」


「ご主人様〜ちょっとお庭に来てもらってもいいですか?」


「庭?わかった〜今行くよ〜」


「コノアも行く〜」


「あ、ご主人様とコノアちゃん。」


「どうしたんだいテシカたん?」


「はい、実はこれを見てください・・」


「・・・うっわ、凄い数の栗が落ちているね」


「そうなんですよ〜この栗の木から落ちてきているみたいなんですけど
これじゃあいつ頭に刺さってもおかしくないですよね?」


「うん、そうだねぇ〜」


「そういう事でみんなで手分けして栗を拾いましょう。
今晩の食事は栗尽くしということで」


「わ〜い、コノア栗大好き〜」


「仕方ないか、こんなに栗があったら危ないし、やりますか」


「じゃあ私はこっちをやりますからご主人様はあっちをお願いしますね」


「りょうかーい」


「コノアは何をすればいいの〜?」


「コノアちゃんはこっちで一緒に栗を拾いましょうね〜」


「わかった〜、じゃあお兄ちゃんまたね〜」


「さて、やりますか・・・にしても落ちている栗ならまだいいんだが
この木の上に生っている栗は非常に危険だなぁ・・・」


「コノアちゃん、足元に気をつけてね?転んだら刺さっちゃうからね栗が」


「わかった〜気をつけるねお姉ちゃん」


「それにしてもこの木に生っている栗は危ないなぁ〜
これが頭の上に落ちてきたら刺さっちゃうよ・・・」


「お姉ちゃん見てみて〜こんなにいっぱい栗を拾ったよ〜」


「凄いねぇコノアちゃん、いっぱい拾ったね〜」


「えへへ、あ・・・・・」


「コノアちゃん危ない!」


ドン!←コノアが木にぶつかる音
グラグラ←ぶつかった弾みで木が揺れる音
ヒュー←木が揺れて栗が落ちてきた音
サクッ←コノアを庇って栗が刺さったテシカ


「きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「ああ、お姉ちゃんが栗だらけに!!」


「どうした!大丈夫かテシカたん!!」


「あ、お兄ちゃん・・・おっとっとっと」


ドン!←足を躓かせたコノアが木に再度ぶつかる音
グラグラ←さっきの2倍の揺れを感知
ヒューヒューヒュー←木が激しく揺れて激しく栗が落ちてきた音
グサッ!←凄い量の栗が頭に刺さった音(誰かはもう言うまでも無い)


「ぎぃやぁぁああああああああああああああ!!」


「ああ、お兄ちゃんが全身栗まみれに!!」


「いててててててててててて!」


「ああ、痛さのあまり転げまわったらその栗がさらに刺さって・・・」


「ぎゃああああああああああああす!」


「・・・・大丈夫ですかご主人様?」


「・・・・・・・・そういうテシカたんこそ大丈夫か?」


「・・・・なんとか」


「・・・そうか、俺も瀕死の重傷だがなんとか大丈夫だ」


「・・・それは大丈夫とは言いませんよ。
というか栗が刺さっただけで瀕死にはなりませんよ。」


「・・・まぁそれだけ痛かったということだ」


「・・・気持ちはわかります」


「大丈夫!?お兄ちゃん、お姉ちゃん!?」


「・・・はは、平気だよコノアたん」


「・・・大丈夫だよコノアちゃん
だけど栗は刺さると危険だから気をつけてね?」


「・・・うん、凄く危険なのはわかった」


「まぁとりあえず落ちた栗は全部拾ってと・・・これで全部かな?」


「そうですね、大体そんなものでいいでしょう。」


「まだ3時くらいだな
丁度お腹も空いたことだしちょっとここで栗を焼こう」


「そうですね、丁度落ち葉もたくさんありますから
焚き火をしてここで少し食べましょうか」


「やったー、じゃあコノアいっぱい落ち葉拾ってくるね〜」


「コノアちゃん、気をつけてね?」


「大丈夫だよお姉ちゃん、もう栗が危険なことは見てわかったから。」


「じゃあお願いね〜」


数分後


「これだけあれば十分だね」


「そうですね、じゃあさっそく栗を入れましょうか。
コノアちゃんは下がっていてね?」


「どうして〜?」


「栗が弾けて飛んでくることもあるから危険なの」


「そうなんだ〜本当に栗は危険がいっぱいだね」


「じゃあ早速投下!!」


数分後


「そろそろ出来たかな?」


「どれどれ・・・・ってコノアたん栗を棒でつついちゃ駄目だぁ!」


「・・・・・ぇ?」


パンッ!←栗が弾けた音


「ぎゃわっちぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


「ああ、弾けた栗がまるで弾丸のようにご主人様に!」


パンッパンッパンッ!←さっきの3倍栗が弾けた音


「きぃやぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!」


「ああ、弾けた栗がまるで散弾のようにテシカたんに!」


「・・・お兄ちゃん、お姉ちゃん、大丈夫?」


「・・・はは、こんなものへっちゃらさー」


「・・・そうですよね、例え体中栗の痕だらけになっても平気ですよね」


「・・・・ははは」


「・・・・ははは」


「・・・・・・・・・・秋って怖いね」


その後、3人で栗拾いをすることは2度と無かった